コラム

2025.09.30 生徒の想いをのせた全国での組織づくり

~高知県立伊野商業高校・横田直祐先生インタビュー~

これまでの軽音楽部 総文祭での立ち位置

文化部のインターハイと呼ばれる「全国高等学校総合文化祭」(通称・総文祭)。開催場所を問わず毎年開催される「規定部門」は、演劇、合唱、吹奏楽、器楽・管弦楽、日本音楽、マーチングバンド・バトントワリング、囲碁、将棋、文芸などの19の部活動で構成されており、そのなかに軽音楽部は含まれていなかった。
「規定部門に含まれている部活動は、総文祭という形で全国のステージに立てるチャンスがある。一方で、規定部門に含まれていない部活動については、日頃の成果を発表するための目標となる場が限られ、寂しい思いをする生徒も多くいた」という。
しかし、2016年のひろしま総文から「協賛部門」として開催したことをきっかけに、年々規模を拡大。そして現在、いよいよ規定部門への機運が高まり、軽音楽部の「全国組織化」への道が広がりつつある。

全国に広がる専門部 生徒が輝ける舞台を

こうした軽音楽部の課題に取り組んできた一人が、高知県立伊野商業高校軽音楽部顧問の横田直祐先生だ。横田先生は、全国高等学校文化連盟(通称・高文連)で軽音楽専門部設立準備委員会の代表委員を務めている。

総文祭の規定部門入りの条件は、「全国専門部」が設置されること。そしてその前提となるのが、「各都道府県専門部」の立ち上げである。

高校軽音楽部は、宮城県で全国初の「県専門部」が立ち上がったことを契機に、関東地方・関西地方へと徐々に普及していった。しかし、都道府県によっては知見や熱量に差がみられ、知見を持つ指導者がアドバイスやサポートなどの働き掛けをおこなうことが必要不可欠であったという。

そうした活動が徐々に実を結び、現在では全国の半数以上の都道府県で専門部が整備され、全国専門部の設置を目前に控える。一方で横田先生は、「まだ半数近くの都道府県では、軽音楽部としての活動を満足におこなえない生徒たちがいる。生徒たちは、『学校の部活動で軽音楽をしたい』という望みのもと入部し、毎日学校生活を共にする仲間同士で大会に出場したいという気持ちが強い。私たち顧問には、そういった想いのある子どもたちを支え、希望をかなえてあげたいという思いが一番にある。そして、子どもたちを支える志のある先生方をサポートしたいと思っている」と取り組みの背景を語る。「生徒は、学校の部活動で軽音楽をしたい。みんなで大会に出場したいという気持ちが強い。大人として、生徒の想いをかなえてあげたいという思いが一番にある」と語り、「大人たちがきちんとした組織づくりを進めることが、生徒に活躍できる場を与えてあげることにつながる。顧問間での情報共有のための資料作成など、これからもさまざまな面でのサポートを継続する」と続けた。

学校の部活動で軽音楽に取り組むということ

かつての印象から、『ロックバンドは不良がやるもの』という意識を持つ方も少なくないのではないか。横田先生によると「現在でも、そういったイメージが残っていると感じることはある。高知県でも当初は、『軽音楽は部活動として取り組むものではない』という認識を変えてもらうところから働きかけていく必要があった」とのこと。

横田先生が軽音楽部の活動に関わるようになったのは、勤務していた高校で「担当の先生がいないと文化祭のステージで演奏できないから、顧問やってよ」と生徒から声をかけられたのがきっかけ。初めは断っていたが、来る日も来る日も頼んでくる生徒に根負けして、軽音楽部を創設して顧問を引き受けることになった。「最初は子供が教えてくれたんですよ。先生一緒にやろうよって無理やり。いつの間にか僕のほうが夢中になっちゃった」と振り返る。

軽音楽に部活動として取り組む以上は、演奏技術よりも日頃の姿勢や行動を重視し、卒業した後の生きる力を育てる。横田先生は「思春期の多感な時期にいろいろな体験をすることが、社会に出た時に必ず役に立つ。私は軽音楽部顧問としてはいわゆる『第2世代』で、軽音楽部の活動の礎をつくっていただいた『第1世代』の先生方がいらっしゃる。軽音楽部が社会に認められるようにと尽力されたその思いも背負って、今後も高校軽音楽部の世界を一層充実させ、他の部活動のように学校の枠を越えて交流し、目標に向かって努力する喜びを全国の生徒に味わってほしい。生徒が一生懸命やりだしたら、先生は必ずなんとかしたくなるものですから」と話した。